世界にある。日本にない。ないならつくろう、日本にも「緑の党」

エコでピース名地球の未来を政治でめざす。

2011年12月29日

【Q&A】11.20フォーラム「みんなでつくろう!緑の党」参加者アンケートへの回答

 
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 11.20フォーラムでは参加者アンケートにたくさんのみなさんにご協力いただき、ありがとうございました。

 みどりの未来に寄せられた多数の質問から、代表的な10問について、回答を掲載します。回答しきれていない質問についても、今後の開かれた政治・政策議論の中に反映させていただきます。
 なお、シンポジウムのパネラーあての質問はそれぞれにお送りしました。お忙しい中、白井和宏さんからご回答をいただきましたので、最後に掲載いたします。
 *中山あての質問は、みどりの未来として回答させていただきます。


Q1. 3.11以降、脱原発を目指し、政治にも興味をもつようになった。「原発」「沖縄基地」「TPP」などの昨今の状況をみると、結局、日米同盟に私はいきつきました。緑の党、政党としてやっていくとなると、踏み込んでいかなければならない問題だと思いますが、緑の党はどのような基軸でいくつもりでしょうか。脱原発、環境問題に関しては、文句なしに賛同します。

A1.
 原発開発の経緯、沖縄基地問題に象徴される日本の平和政策の貧困さ、TPP問題の背景にある多国籍企業主導の新自由主義経済などの問題は、御指摘の「日米同盟」はもちろんですが、結局のところ、私たちがどのような社会や経済を望むのかという問題とつながっています。
 特にご質問の課題で私たちが掲げる「基軸」としては、例えば「2030みどりのアジェンダ」http://site.greens.gr.jp/article/38890145.htmlにおいて、J 共に生きる北東アジア−「「日米同盟」見直し、『思いやり予算』廃止、米軍基地ゼロ。北東アジア非核地帯を実現」
K 公正と連帯のグローバル社会−「国際連帯税・通貨取引税で、環境対策と途上国支援、投機マネーのコントロール」などを打ち出しています。各政策の詳細や背景については上記URLを参照下さい。


Q2. 日本国内だけで緑の理念をかかげていても、外国との関係で国力が落ちる事態もあります。IPCC、CBD等、国際条約の成立も必要では。

A2.
 まず、「緑の理念」を掲げているのは私たちだけでなく、欧州や豪州などを中心に多くの「緑の政治勢力」が活動し、諸外国では政権に参加し、脱原発政策を大きく進める原動力となった経験を持つところなどもあります。
 次に、質問中の「国力」がどのような物差しで言われるのか定かではありませんが、11/20のシンポで提起したように、GDPや貿易収支は私たちの生活の真の豊かさと必ずしも直結していないことは明らかです。
 「IPCC、CBD等、国際条約の成立も必要では」との質問については、私たちも当然その通りと考えます。なお、特に温暖化防止や生物多様性の維持に関わる国際的な枠組みにおいては、NGOの提言や議論が重要な役割を果たしてきました。また、いわゆる「国際連帯税」導入に向けた議論や、クラスター爆弾禁止条約の成立の過程においても、市民運動やNGOなどの活発な活動が主導的な役割を果たしています。こうした経験を踏まえ、私たち自身の力はまだ小さくとも、国内外のNGOや海外の緑の勢力と連携して、環境や人権に配慮した国際的な枠組みの構築に向けて努力していきたいと考えています。


Q3. 地域での小規模な事業体の具体的なイメージは。

A3.
 例えば福祉や雇用の分野では、もともと市民レベルで始まり介護保険の制度にも組み込まれた「小規模多機能」型の介護事業などがあり、地域に根ざし生活に密着した顔の見える範囲で活動しているところが少なくありません。「社会的事業所」の取り組みでは、障がいのある人とない人が地域で協同で仕事起こしを試みています。福祉と若者の雇用、休耕田と求職者、シャッター通りの商店街と若者起業などを結びつける取り組みなど、地域の実情や環境に根ざした事業体なども生まれています。
 また、「食」の分野では、「地産地消」がよく知られていますが、これは地域の第一次産業の育成、食の安心だけでなく、輸送にかかるコストやCO2排出を抑える役割も果たしています。
 エネルギーの分野でも、大規模集約型の原発や火力などではなく、太陽光・風力・コジェネ・小水力など、小規模分散型再生可能エネルギーの拡大によって、環境にやさしいだけでなく、コストの削減や地域の雇用などにもつながります。


Q4. 国がかかえる1000兆円の財政赤字問題も避けられないテーマであり、緑の党の考えとして対策案も示す必要があるのでは。

A4.
 ご指摘の通り、日本が抱える巨額の累積財政赤字は、深刻な問題です。赤字国債の発行に頼り続けてきた結果、この20年間(1989年度〜2010年度)で「国と地方の長期債務」は254兆円から862兆円へと3.4倍にも膨れ上がりました。その対GDP比は181%とギリシャの142%をも上回り、先進国のなかで最悪です。また、国債と借入金現在高を合わせた「国の借金」で見ると、12年度末には1000兆円を突破すると予測されています。これだけの累積債務を抱えると、債務不履行への不安から国債価格の暴落、つまり金利の急上昇、そして国債のさらなる格付けといった事態がいつ起こってもおかしくありません。そうなれば、新規に国債を発行しても買い手がつかず、財政資金を調達できないという危機に陥ります。とりあえずは、国債の95%が国内で消化され、また税負担率が低いために増税の余地があると見られていることから、国債の暴落の危険は先延ばしされています。
 しかし、これ以上、国債発行に頼って累積債務を増やすことは、避けなければなりません。少なくとも基礎的財政収支を黒字にする、つまり借金の元利償還分を除いた政策経費を税収の範囲内で賄う必要があります。利子分だけを支払って巨額の債務を短期間で返済しなくても(借り換えのための国債発行を続けることは必要ですが)、これ以上債務が増えないということが確実になれば、国債価格の暴落といった事態は回避できるでしょう。

 財政赤字を増やさないためには、税のムダ使いをなくすことも必要ですが、歳出削減を優先させる路線をとるべきではありません。高齢化の進展や貧困の拡大に対して社会保障を拡充することが求められているからです。したがって、公正な増税によって税収を増やすことが重要であると考えます。公正な増税の内容については、「2030みどりのアジェンダ」を参考にしてください。


Q5. 給付付き所得控除は税申告が自己申告なので、不当に収入を少なくし、不正などがおこりやすくなるのではと思います。その点はどう対策を立てますか。

A5.
 確かに同様の制度が導入された諸外国でも、不正受給などが問題になっています。
 それらの国々では、いわゆる納税者番号や社会保障番号(またはその両者を統合した共通番号制度)を利用した所得情報の捕捉、不正申告へのペナルティの導入などが対策として行なわれています。また、勤労へのインセンティブを誘導するような制度設計を工夫しているところもあります。
 日本でも、政府は『共通番号』制度を2015年に導入しようと準備しています。その目的の1つが所得の正確な把握であるとされています。ただ、税や社会保障の共通個人番号制によって所得を正確に把握しようとすると、同じ制度によって個人の銀行口座や資産残高の情報までも管理する必要が生じることになり、個人情報保護の観点からも十分な議論と対策が必要と考えます。
 いずれにせよ、諸外国の経験なども踏まえ、十分な熟慮の上で、より効果的で、他の税・社会保障制度と有機的・相補的に機能するような制度設計が必要であり、私たちも研究を重ねていきたいと考えています。


Q6. 私は、世界的な人口抑制が必須と考えています(日本は少子化と言われていますが、歓迎です)。緑の党は、どのようにお考えですか。

A6.
 私たちも、世界的な人口爆発の傾向は好ましくないと考えます。
 ただし、強権的な手段により、個人の意に反して出生を抑制するのではなく、教育の普及などによって、世界の人々とりわけ女性が自らの意思によって、出産を決定できる状況を整えることが重要だと考えます。
 また、日本においても、現状の人口水準は日本の大地が支えうる限界を上回っていると考えます。
ただし、現在日本で進行している少子化は、雇用の劣悪さや、育児負担の性的アンバランスなどによって、個人の意に反して出生が抑制されている面も強く、私たちは、このような原因による少子化は好ましいものとは考えません。
 産むにせよ産まないにせよ、自らの意思によって決定できる条件を作っていくことが、エコロジカルな社会につながるものだと考えます。


Q7. みどりの未来の女性に関する基本的な考え方はわかるが、女性(特にシングルマザー)の生活のあり方に対してどのように考えているのですか。私自身は、シングルマザーが普通に生活でき、少しのぜいたく、貯金などができる社会は(1つのあり方として)象徴的な言い方ではあるが、人間の幸せな社会(もちろん男性にとっても)であると考えています。

A7.
 先日も、国立社会保障・人口問題研究所の「単身女性の3人に1人、母子家庭の57%が貧困」との分析結果が報道されました。
 日本の雇用政策も社会保障制度も結婚・標準家庭を前提としてきたため女性の非正規雇用に依存し、所得再配分によって母子家庭の貧困率が上昇するという逆転状態を放置してきました。
現在の格差・貧困問題は、女性ことに母子家庭にしわ寄せしてきた矛盾が男性にも及ぶようになリ、やっと問題としての認知度が高まったとも言えます。
 シングルマザーの生活状態をひとつの基準として社会のあり方を考えることは、重要なポイントです。


Q8. 日本の緑の党と他国とは環境が違いますが、国(?)状にあった内容に変わるという様に受け取ってよいのでしょうか.

A8.
 理念や大まかなビジョンについては同じですが、政策内容については、もちろん国によって異なる場合があります。
 たとえば、平和については、ドイツの緑の党は「人道のための武力行使」には賛成ですが、戦争責任を十分に果たしておらず、憲法9条を持つ日本では、海外での武力行使については基本的に慎重であるべきと考えています。
 あるいはアメリカやフランスなどの農産物輸出国と自給率40%の日本では、補助金なども含めて農業政策のあり方も、かなり違ったものになると思われます。


Q9.  来年、衆院解散があったらどう対応する予定ですか。2013年の参院選挙をめざしているようだが、次の衆議院選挙についてどう考えているのですか。

A9.
 2013年の参院選挙で議席を獲得した場合は、その直後の総選挙には挑戦するつもりです。
 2013年の参院選挙が衆参ダブル選挙の場合は、可能ならいくつかのブロック比例に挑戦したいと考えています。
 しかし、資金を確保し候補者を擁立できるか否かは、それまでの力量しだいだと考えています。
2012年に総選挙がある場合は、当選の可能性と落選した場合の参院選への影響を考えて、総合的に判断して決定したいと考えています。


Q10. 緑の党が今後、意味を持つ為には選挙制度についてふれる必要があるが、どのように考え、取り組むつもりですか。

A10.
 小選挙区ではなく、民意を反映する比例代表制度を主張します。候補者選択も考慮される比例代表併用制をめざします。
 もちろん被選挙権が普通の市民から剥奪されている供託金を廃止をめざしますし、企業献金の廃止もめざします。企業献金は受け取りません。
 国会議員の報酬も欧米と比較して3〜4倍なので、削減をめざします。一方、議員数の削減には、多様な民意を反映させるべきと考え反対します。
 これらを総合的な政治改革として提案したいと考えています。選挙の時の主要な争点の1つとして打ち出す予定です。


−白井和宏さんへの質問 日本の限りなく薄っぺらな「民主主義もどき」ないし「エセ民主主義」の中で、どのようにしたら参加型民主主義を根づかせることができるのか、体験から得られたエッセンスを簡潔明瞭にわかりやすくお示しください。分かれば苦労しない?と思いますが、長い体験から得られた感想でも結構です。

A−白井さんからの回答
 『ご質問ありがとうございます。下記に、個人的な見解を述べさせていただきますが、様々な要素を省略した、敢えて単純化した意見とご理解下さい。

 日本における「緑の党」設立が遅れた理由として、欧米と比べた「市民社会の薄さ」が影響していると思います。市民社会論を語るには世紀を遡った歴史の違い踏み込む必要があるので、簡単に述べることはできません。それでも私は、これからの日本こそ「参加型民主主義」が広がる可能性があると考えていますが、その主要な要因は経済状況の変化にあります。

 1970年代前半、世界はオイルショック等を契機に景気後退に突入しましたが、日本はそれを乗り切り、その後も長期に渡ってバブルを謳歌してきました。

 ところが数十年前から欧米では、企業の海外移転、製造業の空洞化、失業、年金・医療制度の崩壊、コミュニティの衰退が深刻化し、企業と国家が人々の生活を保障しない構造が進行してきました。
 市民は自己を防衛するために、「直接行動」せざるを得なくなり、市民自らの政党として「緑の党」を形成・支持してきたという側面があると思います。(緑の党は環境政党であるとともに、マイノリティの政党であると私は認識しています)

 日本でバブルが完全にはじけたのは90年代に入ってからであり、21世紀に入っても多くの人々は企業社会の中で暮らすことができました。参加民主主義がなくても、日常生活に不自由はありませんでした。国も企業も自らを守ってくれないと、大多数の人々が深刻に感じ始めたのは2008年末以降のことだと思います。

 NPO・NGOも含め、本格的な直接参加型の民主主義が、これから日本でも広がる時代に突入したと考えています。』

白井和宏(緑の政治フォーラム・かながわ)



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