2011年12月16日 みどりの未来運営委員会
世界気象機関(WMO)をはじめとした科学機関や研究チームが「気候変動対策が瀬戸際にある」と警鐘を鳴らす中、11 月28 日から南アフリカ・ダーバンで開催されていた気候変動枠組条約第17 回締約国会議(COP17)および京都議定書第7回締約国会合(CMP7)は、会議を2日間延長して12月11日に終了し、米中も参加する新たな法的枠組み交渉の開始に合意しました。
今回の合意で想定される2020年の対策開始では、コペンハーゲンCOP15で視野に入った「工業化前からの気温上昇限度を2度C未満とする」目標の達成がほぼ不可能になり、科学が求める対策規模とのギャップがますます大きくなることが懸念されます。一方、かつて京都議定書として結晶した多国間の交渉に基づく温暖化対策の取り組みは新たな段階へと踏み出したと言えます。
しかし、この国際会議において日本政府は、途上国が求める緑の気候基金についての具体的な提案を持たずに臨み、また「米・中を含む全ての国が参加する一つの議定書」を口実にして京都議定書の第2約束期間を終始拒否し続け、交渉を停滞させました。気候変動対策に後ろ向きな姿勢によって、日本政府は途上国をはじめ参加各国からの信頼を失ってしまいました。
また、原発推進政策に依拠した温暖化対策は、再生可能エネルギーの拡大を阻んで来たばかりでなく、今回の福島原発事故によって完全に破綻しました。それにもかかわらず、日本政府は原発の海外輸出を進めようとしています。
人類の未来を脅かしている日本政府に対し、私たち「みどりの未来」は、以下 4点を求めます。
1.新たな枠組み交渉が始まることが決まった以上、政府の「議定書延長が現状を固定化する足かせになるとの懸念」(註1)は不要となりました。したがって、あらためて京都議定書の第2約束期間の受入と削減目標を約束し、2020年までの間、いわゆる「ギャップ」(註2)の最小化に向けて最大限貢献すべきです。
2.国際的な公約である「2020年25%の温室効果ガス排出削減」を達成するため、再生可能エネルギーの固定価格買取制度において実効性の高い価格を設定するなど、法の整備や政策措置を通じて国内対策を強化すべきです。
3.原発推進政策を完全に放棄し、省エネルギー・再生可能エネルギーを推進して温暖化対策の抜本的転換をはかるべきです。
4.京都議定書における「原発を利用するCDMプロジェクトを先進国はさし控える」との合意を、二国間の協力の枠組みにも適用させるべきです。
註1:1年前の政府の京都議定書延長に関する立場を参照http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kiko/kp_pos_1012.html
註2:地球温暖化抑制のために必要なCO2削減レベルと、現在各国が掲げている温室効果ガス排出量の削減目標(2020年)によって実現できる排出レベルとの間の隔たり。