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エコでピース名地球の未来を政治でめざす。

2011年05月30日

【報告】ドイツ緑の党ジルビア・コッティング・ウール連邦議員来日の報告

 
*来日の全てのスケジュールを通訳も兼ねてボランティアで同行していただいた会員の田口さんからの報告です。
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ドイツ緑の党 ジルビア・コッティング・ウールさん来日の報告

2011年5月15日〜21日
田口信子(みどりの未来会員)

■第一日目(5月15日)
 ジルビアさんは緑の党の闘士、しかも原子力政策担当というイメージからは遠いエレガントで穏やかな女性。国会でどんな風にメルケル首相を攻撃するのか見てみたい。原水禁の招待で、広島・長崎に来たことがあるが、東京を見るのは初めてで、ビルが乱立する東京の巨大さに驚いている様子。
遠来の客を迎えるにはもってこいの五月晴れ。ジルビアさんはそのさわやかさを味わいながら「風が強いわね」と言う。その言葉は、日本の風力エネルギーの可能性を思ってのことだというのを、シンポジウムで知った。
 夜の「『311』から未来を拓くシンポジウム」の通訳は、ドイツ在住でちょうど来日中の翻訳士の高田知行さんにお願いした。高田さんは震災後、「atomfree eastwest」というサイトを立ち上げた熱心な反原発派。二人の打ち合わせは日本の情報、ドイツの情報の交換で単なる打ち合わせを超えていた。
 シンポジウムでの発言は、廃棄核燃料の輸送を止めたことなど、自身の経験も含めた簡単ではなかった緑の党の道どりにも及んだ。最後は「脱原発は可能であり、それは選挙によって実現される」のスローガンで締められた。市民の声が前面に出る政治そして緑の党の出現が必要と強調された。

■第二日目(5月16日)
 この日は被災地を見ていただくことになっている。
福島駅から「ボランティア山形」の丸山弘志さんの手配で車で移動。津波にあった相馬の海岸に向かう。瓦礫が至る所に見える福島の大地は、テレビで見た焼き付けられた津波の映像と相まって、強烈なインパクトを持って迫ってくる。
 港で見る建物の上に覆いかぶさった船の姿は、自然の力を勝ち誇る獅子のよう。私たちは決して自然に勝てないことを思い知らされる。
 計画避難の行われている飯舘村に入る。なぜこの村の放射能が高いのか分からない。報道には書かれていない、この村の美しさに圧倒される。飯舘村はこれまで、エコビレッジを実現させようと、若いお嫁さんたちをドイツに派遣したり、様々な施策を行ってきたと村長から聞く。この美しい村を全村民で離れなくてはならない、村長の苦悩は筆舌に尽くし難いものだったと思う。車中、ジルビアさんから、ドイツの緑の党が成長してきた戦略などを聞く。それは情報、情報、情報で、TAZという草の根型ニューメディアの創立がきっかけになった。今やこの新聞はドイツの至る所のキオスクで売られ、普通の日刊紙と同じように読まれているそうだ。
 夜は米沢市で高齢者のグループホームに宿泊した。

■第三日目(5月17日)
 30キロ圏内、そしてその少し外から自主的に米沢に避難した若い4人の方から話を聞く。地震の発生後、電気、水道が止まり、情報が全く入らない日が続いた。そして知人から避難をすすめる電話があり、子どものことを考えて避難を決めたという。あちこちの避難所はすでに津波被害からの避難者でいっぱいで、福島県外でガソリンの足りるところということで米沢にたどり着いたそうだ。家も故郷もそこにあるのに、全てを捨てなくてはならない異様な事態を生の声で聞くと、原発はまさに不条理だと感じる。何の施策も受けることなしに、将来の展望も与えられることなく投げ出される戸惑い辛さはその立場になってみないと私たちは決して分からないであろう。ジルビアさんもチェルノブイリの事故で核の雲がヨーロッパを覆った時、二人の子どもを外で遊ばせられず、食事も缶詰しか与えられなかったと自身の経験を語った。そこから緑の党に入ったという。
 二組の家族はジルビアさんに、今後、きちんとした対処が受けられるよう、日本政府に国際的圧力をかけてくれるよう頼む。ジルビアさんはできるだけのことはすると答えるとともに、被災者が集まって組織をつくり、声を上げるよう勧める。米沢には現在1000人ほどが避難しているが、米沢市民からは様々な温かい励ましを受けているそうだ。それは米沢藩からの遺訓が今も根付いているからだという。
 その後、上杉神社を訪れる。ジルビアさんはお参りの作法などにも関心を示し、ドイツではたくさんの古い風習が廃れてしまったが、日本にはまだ残っているのはよいことだと言う。

■第四日目(5月18日)
 新幹線で関西に向かう。車中、原発がいっぱいあるフランスと違って、なぜドイツは原発に対して厳しいかを聞く。戦争に負けた経験のないフランスにくらべ、ドイツは二度戦争に負け、ナチの経験、ユダヤ人虐殺という経験を持っている。その経験から、特に戦後生まれた世代は、常に政治に対して批判的に厳しくあらねばならないと感じているからだという。
 大阪では「脱原発をめざして『みどりの党』結成にむけたビジョン会議」で講演。被災地フクシマを見た印象、被災者と話した印象を述べ、原発はいかに危険で推進するべきものではないかを話す。同時に日本は太陽、水、風力と、ドイツにくらべ、ずっと資源の可能性に富んでいること、高いテクノロジー、教育水準の高い若い人たちと、再生エネルギー開発に必要なものはすべて整っていると力説する。今、必要なのは、一人一人が声をあげること、そして手をつなぐこと。政治に政党として参加し、着実に目的を実現することだと緑の党結成を励ます。
 その後、京都の市民集会で特別ゲストとして挨拶をする。ここまで来ると、穏やかで優雅な女性の印象は背面に退き、人々を駆り立てるアジテーターの顔が出てきて、やはり緑の党の闘志なのだなと感嘆させられる。

■第五日目(5月19日)
 浜岡原発見学の日。残念ながら原発見学は断られ、隣接の資料館最上階からその全容を見る。狭い場所に5基もの原発があることにジルビアさんは驚く。同行の松谷清、宮澤圭輔の両静岡市議が、原発のない町づくりを求めて要請書を中部電力社員に渡す。こちらからの質問に答える権限がないという返答にジルビアさんはするどく突っ込んでいる。あたりの地層などを見ながら、いつ起きても不思議でない東海地震、日本の背骨ともいうべき地域にあることなどの説明を受け、廃止の必要性を強く感じたよう。
 御前崎市の副市長と会い要請などを伝えるが、原発は国策で行われたことで市としてはどうにもすることもできないの返事ばかりで、ジルビアさんは日本では地方自治体の権限がいかに無いかを知ったよう。連邦制のドイツでは、それぞれのレベルで地方自治体はしっかりとした権限を持っているとのことである。さらに静岡県庁を訪れ川勝知事と面会する。知事との会見では、自分は責任ある立場にあるという答えにある程度納得したらしく、浜岡を第2のフクシマにしないように、ドイツに来て脱原発が可能であることをぜひ見るようにとすすめる。
 夜は記者会見に続き市民交流集会に参加する。ここでの質問はかなり細かいことにまで及ぶ。風力エネルギーは騒音のため歓迎されないがそれをどうすればよいかなどの質問に、被害の対象となる住民を計画の最初の段階から参加させることで解決していると答える。

■第六日目(5月20日)
 静岡から東京に戻る。来日中、ジルビアさんはドイツのラジオからインタビューを受けていたが、その反響がおおきく、日本のNHKにあたるZDFテレビ放送局から生中継での会見を申し込まれる。もともとぎゅうぎゅう詰めのスケジュールで調整はきわめて難しかったがなんとか要請に応える。東京でも記者会見、個別インタビューと夜遅くまで続く。大丈夫かと聞くと、ベルリンの国会ではもっと大変だという。
 来日中、ジルビアさんが繰り返し何度も述べていたことは次のようなことだ。
 「原発は人間の制御の及ばない危険なもので、ドイツでは19基の原発があるが、報告義務のあるレベルの事故だけでも平均2.5日に1回起きている。民主主義は政治や情報の伝達などが透明性を持っていることが大前提だが、原発は危険なものなので透明性を持つことができない。原発は民主主義とはなじめないものである。また、日本は太陽、風、水とドイツよりずっと再生可能エネルギーのポテンシャルを持ち、技術水準も高く、高い教育を受けた若者もいっぱいいて再生可能エネルギーへと転換する条件はすべて整っている。それを実現するのは市民の力であり、市民の声をまとめ上げて政治に参加する党の出現である」
 私たち日本人はどこの国にもまして自然とのかかわりを強く持ち、工夫心に富んだ国であり、その意味で日本ほど自然エネルギー開発にふさわしい国はないと気づかされた。この不幸を機に市民が政治に声をあげる社会へと変化していく大切さを痛感させられたジルビアさんのメッセージであった。何度かの講演で、いつも日本では市民運動がなかなか広がらない、どうしたら良いかという質問がでた。それに対してさまざまの意見の人を取り入れること、お互いの間で目的だけははっきりさせ、目的達成のためには意見の違いも受容することだとジルビアさんは答えていた。
 夜はオーガニックレストランで交流会が行われた。ジルビアさんの人生などを語ってもらい、ジルビアさんを個人的にも知ることができた楽しい機会となった。ジルビアさん、お疲れさま。




posted by みどりの未来 at 17:15 | イベント情報
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