2011年3月30日 みどりの未来運営委員会
3月15日に福島第一原子力発電所から半径20キロメートル以内を避難指示区域、20から30キロメートルを屋内退避区域と指定して既に2週間以上が経過しました。屋内退避措置は一時的に危険の可能性のある場合については有効な手段かもしれませんが、長期的措置としては有効とは言えません。さらに放射能汚染が拡大する危険性がある現状を鑑み、20から30キロ圏内を早急に避難指示に切り替えなければなりません。
すでに同地域では物資の補給も滞り、屋外に出ることもできず、生活は疲弊しきっています。放射能汚染、生活の保障の両観点から、早急に同地域を避難指示に切り替えるべきです。
また、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)ネットワークシステムによる内部被曝臓器等価線量計算(注1)によると、放射能汚染は30キロ圏内にとどまらず、遠いところでは50キロ圏内でも健康に対する甚大な危険を伴う可能性が示唆されています。同システムの試算において地域の5割以上が累積 100ミリシーベルトを超える汚染区域に入る自治体は、早急に自治体機能ごと域外に移転されるべきです。
地元を離れたくないという地域住民の方のお気持ちも理解できます。しかし、すでにスリーマイル事故を超えたことが明らかな放射能汚染から、人命と健康、社会機能を守るためには、これらの地域においてはもはや一刻の猶予もありません。
特に、乳幼児および児童、妊婦においては、放射能が与える影響の大きさを鑑み、優先的に避難させるべきです。特にこの4月に新学期を迎える就学児においては、避難先で滞りなく学校生活が送れるよう、転校手続き等において文部科学省はじめ関係省庁がサポートすることも重要です。
また、今後事態が悪化するケースも想定し、避難先は80キロ圏の外に置かれるべきです。万が一汚染地域が広がり、二度、三度に渡る避難を強いることになれば、避難民の方々の物理的・精神的苦痛は耐えがたく、避難実務も混乱を極めます。
さらに、放射能汚染の可能性がある地域に入る関係者の心理的影響に鑑み、避難支援もしくは早急に避難できない方に対する支援のために現地に入る関係者に対して、放射線及び放射性物質からの防護に関する事前講習及び訓練、実地での防護と除染の実践的バックアップが必要です。この面での国際的援助を緊急に求めることも検討するべきです。「みどりの未来」は放射線防護に関する国際的支援を呼びかける用意があります。
よって、私たち「みどりの未来」は、以下の事項を求めます。
1.屋内退避および自主避難の指示が出ている福島第一原発から半径20から30キロ圏内を、避難指示に切り替えること。その際の避難先は、半径80キロ圏外に置くこと。
2.SPEEDIの計算結果、面積の過半が100ミリシーベルト以上の汚染が推測される自治体に避難指示を出し、自治体機能ごと移転させること。対象は福島県南相馬市、同飯館村、同川俣町、同浪江町、同葛尾村、同双葉町、同大熊町、同富岡町、同楢葉町、同広野町。なお、いわき市北東部に関してもSPEEDIの計算結果に基づけば100ミリシーベルト以上の汚染が推測されているため、同地域においても避難指示を出すこと。
3.避難に際しては、乳幼児・児童及びその保護者、および妊婦を優先させること。新学期の開始に合わせ、避難地域における就学に支障がないようサポートすること。
4.当該地域に支援等で入る関係者に対する、放射線および放射性物質からの防護に関する講習、訓練を徹底し、作業後のスクリーニング・除染体制を強化すること。必要であれば、国際支援を求めること。
(注1:SPEEDIによる内部被曝臓器等価線量計算による放射性ヨウ素累積100ミリシーベルト超区域図:http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf)