世界にある。日本にない。ないならつくろう、日本にも「緑の党」

エコでピース名地球の未来を政治でめざす。

2011年03月10日

【論説】「次世代に負担を強いる借金」と「不確実な税収」に頼らない持続可能な財政計画に 〜2011(平成23)年度地方財政計画〜

2011年3月10日 みどりの未来運営委員会
 
■借金依存を回避する方向性は示されたが、財政再建の道筋は不十分

 総務省は1月、新年度の地方財政計画を示しました。
 同計画では、臨時財政対策債を減額(7兆7,069億円から6兆1593億円へ)し、税収の極めて良好な不交付団体への配分も3年かけて廃止する方向性を打ち出しました。臨時財政対策債は地方交付金の不足を補うため自治体に借金を可能にさせてきた制度で、私たちもこの制度の非健全性や矛盾を指摘して来ましたが、今回の方向は、次世代への負担の削減に一歩踏み出すものとして評価できます。
 しかし、地方財政の歳入と歳出のギャップは依然埋まらず、財政赤字は拡大しています。今回、これを整理する方向を示したものの、地方交付税特別会計の借入金を1000億円返済する予定にすぎません。これまでの借入金総額は50兆円を超えているため、元本を減らすためには8593億円の返済が必要となるのです。2011(平成23)年度末時点で、借入金残高としてはわずかながら伸びています。地方財政の健全化の明確な道筋は、まだ見えません。

■経済成長による税収増は困難、さらなる次世代負担に

 また、総務省は「地方交付税交付金が大幅増」と宣伝していますが、臨時財政対策債をあわせた実質的な交付金は減少しています。そこで、「経済成長により」税収が伸びると予測しています。しかし、あくまで予測にしかすぎません。各自治体も連動して同じように税収増を予測し、全体の財政規模を膨らませていますが、予測した税収増がない場合、これまでと同様に借金(減収補てん債)で穴埋めすることになります。
 不確実な「経済成長による税収増」に期待していては、結局、次世代に負担を強いる借金を増やしていくことになりかねません。本来、財政運営は歳入を堅実に予測し、歳出もそれに応じて設計する必要があります。

■定常型社会にふさわしい、公平な増税と分配を

 地方財政計画の過去を振り返ると、1975(昭和50)年度から1994(平成6)年度で財政規模は20兆から80兆へと4倍になっていますが、その後は80兆円前後を推移しています。国の財政規模も地方全体とほぼ同様の傾向をたどっています。
 財政規模が伸びない「定常型」社会に移行している現状を踏まえれば、「規模の大きさ」ではなく「歳出の中身」に注目した綿密な検討こそが求められています。
 また、日本においては税金負担に対する社会保険料の負担の比率が諸外国より大きいことから、先進国では唯一、税金や社会保険料を徴収する前より、税金等を徴収して再分配した後の方がかえって格差が拡大するという倒錯した現象が起こっています。福祉や教育など必要なサービスは税金で保障するべきであり、そのための財源確保には、確実で公平な増税が必要です。
 私たちは持続可能な地方財政計画への転換を求め、地方政治においても、経済成長に頼らない豊かでエコロジカルな市民社会をめざす「みどり」的視点で、ムダをはぶき歳出構造を変え、支えあいの地域社会をめざします。

 
posted by みどりの未来 at 02:04 | 政策・論評
Copyright (C) GREENS Japan./ みどりの未来 All Rights reserved.