2010年7月14日 みどりの未来・運営委員会
私たちは参院選にむけて、「みどり」の政治空間を拡大し、政治を後退させないという観点での行動を訴えました。しかし残念ながら、政権交替で切り開かれた新しい政治への可能性を縮小、後退させる結果と言わざるをえません。
その原因と理由を冷静に分析し、次のみどりのステップへと踏み出しましょう。
■しぼんだ民主党への期待感
有権者は民主党に「期待はずれ」の審判を下しました。
今回の結果を獲得議席で見ると、民主党は2007年の60議席を大きく下回る44議席で敗北。自民党は37議席から51議席と復調。公明党は2議席減、共産党は1議席減、社民党は比例区票が減少となり、保守新党も低迷。そして、みんなの党は一挙に10議席を獲得し躍進しました。
しかし他方で、基本的に民意を反映する比例区の得票率は、民主党32%(04年38%、07年39%)、自民党24%(04年30%、07年28%)で、過去と比較しても民主党への期待が完全に失望に代わったとは言えません。
■民主党敗北の理由
民主党への期待感がしぼんだ理由は、実現しようとする長期的ビジョンと方向性が曖昧なことに根本的原因があります。それは、「政治とカネ」問題、普天間米軍基地問題での迷走・混迷ぶりに如実に表れました。
長期的ビジョンと方向性の曖昧さは、菅首相が打ち出した「経済成長戦略による、強い経済・強い財政・強い社会保障」「消費税増税」でも同様でした。民主党は「国民の生活が第一」というスローガンで、この間の選挙で支持を拡大させてきたにもかかわらず、消費税増税が、「国民の生活が第一」というスローガンにどう結びつくのかという肝心な点についてビジョンを語ることができませんでした。
有権者には社会保障充実への増税を引受ける覚悟があるにもかかわらず、説得力ある長期的な社会ビジョンが見えませんでした。その結果、経済の低迷、格差と貧困に苦しむ地方や低所得者から不信任が突きつけられ、他方で政府のムダ遣いの一掃を望んだ有権者の批判を受けたのは当然のことと言えます。地方の一人区での民主党の惨敗、比例区と首都圏でのみんなの党の躍進がそのことを端的に示しています。
■経済成長主義から定常型社会の選択へ
しかし、民主党以外の政党も、長期的ビジョンと方向性を示すことができていません。
民主党3%、自民党4%、公明党3〜4%、みんなの党4%以上、国民新党5%以上と、各党は成長戦略による経済成長率の高さを争いあいました。「経済成長さえ実現できれば、格差や貧困、雇用の安定、将来不安は解消できる」というビジョンなき経済成長主義の復活です。環境制約や、市場万能主義によって拡大した格差や貧困などの現実も曖昧にされています。
私たちは、グローバルな競争型経済からの離脱、環境破壊の経済成長依存主義からの脱却による定常型社会、信頼と分かち合いによる雇用や暮らしの安心という持続可能な福祉社会への転換が必要だと考えます。そのめざすべき将来像を示す特徴的な政策を「2030みどりのアジェンダ」として掲げました。
「経済的に豊かだが格差が大きい国」と「豊かさはさほどでないが格差の小さい国」のどちらをめざすかという問いに対して、前者が17%、後者が73%という世論調査の結果(朝日新聞6月)も出ています。「信頼と分かち合いの定常型社会」への気運は潜在的には着実に高まっています。
国政選挙に定常型社会のビジョンの選択肢を登場させることが求められています。私たちが果たすべき未来への責任はますます重要になっています。2013年の参院選に挑戦する力を着実に蓄積するうえで、来年の統一地方選挙での躍進が必要不可欠です。大きなステップとするために、ともにがんばりましょう。