私たちがめざす将来像を示す特徴的な政策をまとめました(解説は随時更新)。
別に総合的な基本政策集を作成しています。 2010年6月8日
別に総合的な基本政策集を作成しています。 2010年6月8日
現代社会は、もう何十年も危機的な状態が続いています。
地球は有限であるのに、人間が無限の経済成長を求めた結果、
自然を破壊し、資源を収奪し、モノを作り続けることを繰り返してきました。
物質的な豊かさが増す一方で、格差が広がり、
人と人との結びつきや社会のありかたは冷たく貧しいものになり、
多くの人々が将来への底知れない不安を抱えながら、時間に追われて暮らしています。
今こそ、本当の「豊かさ」を見直す時にきています。
私たちは、経済成長に依存しなくとも、環境と調和したゆっくりとした生活を享受することで、
地球にも人間にもできるだけ負荷をかけない社会のしくみを創りたいと思っています。
私たちは、一人ひとりが尊重され、人々の生活が競争ではなく自治と協力によって営まれる、
あらたな経済社会のかたちを実現したいと考えています。
私たちは、世界の不公平と貧困、紛争を解決するために、日本が先頭に立ち、
公正な国際社会へ転換していきます。
さぁ大胆に進路を変えましょう。2030年をめざしてともに新しい未来の1ページを刻みましょう。
@ 脱原発の地球温暖化対策
2020年までに、再生可能エネルギー20%アップ、温室効果ガスは原発に頼らず30%マイナス
【解説】 日本の現在の再生可能エネルギーの供給ベース実績は約5%、自民党政権時代の2009年時点での目標は2020年までに9%、民主党の公約は2020年までに10%、欧州は2020年までに20%。原発に頼らず、さまざまな施策をほどこすことで、2020年に温室効果ガスを30%削減することは可能だという説得的な試算をNGOの気候ネットワークが発表しています。原発は増設せずに、30年が経過し老朽化した原発から順次廃止し、2040年には全廃します。
*2011年3月の原発震災を受け、みどりの未来は2011年7月の臨時総会において、上記「解説」で示したプロセスを前倒し、「再稼動をストップし、来春の全面ストップに追い込むこと」を議決しました。
また、2011年7月および8月の運営委員会声明でも、この立場から「一刻の猶予も許さず即座に、すべての原子力発電所の全面的停止」を強く求め、「重大な施策の決定権を私たち国民が持つ」こと、「より広い地域の自治体住民が直接関わることのできる仕組み」「あらゆる情報が公開され徹底的な検証と対策」などを求めています。
A ケア・フード・マネーは地産地消
地域循環の第6次産業ビジネス支援、緑の共生経済で雇用創出、地域再投資法で、地域再生
【解説】 農林水産業(第1次産業)と加工業(第2次産業)と消費(第3次産業)を、すべて地域で循環させることを意味する第6次産業や、介護・医療スタッフの不足に対して公的サービスの拡充で雇用を増やすなど、競争型ではなく、自然環境を再生し、地域の人々が担う共生経済をすすめます。地域再投資法とは、金融機関の公共性の観点から、地域経済への貢献、中小企業への社会的貢献を義務付けるもので、地域経済の安定を進め、国際的な投機への抑制策ともなります。またゴミは、ゼロ・ウエストをめざし、地域循環型の処理へ。
B 食は自給率アップで安心確保
食糧自給率80%に倍増。フードマイレージを3分の1に。遺伝子組換え食糧は輸入・生産禁止
【解説】 1960年の日本の食糧自給率は80%、40年後の2000年以後40%で推移。イギリスのように20年間で30%アップさせた実例があり、日本でも20年で40%アップは可能。日本の食糧輸入に必要とする「重さ×距離」(フードマイレージ)は、欧州の3倍で世界一であり、無駄なエネルギーを消費しています。遺伝子組み換え食糧は、種子の多様性をなくし、農民の自立性を破壊し穀物メジャーに従属させます。食の安全が証明されていない遺伝子組み換え食糧は予防原則の観点から禁止されるべきです。
C すべての人に生存権の保障
月10万円のベーシック・インカム導入。医療・育児・教育・住まいのサービスを大胆に拡充
【解説】 日本の貧困率(年間所得114万円以下の世帯の比率、2007年)は15.7%と、アメリカに次いで高くなっています。これは、これまでの最低所得保障の仕組みが生存権を保障する上で機能していないことを意味しています。生活保護の生活扶助額は8万3700円(東京の20〜40歳の単身者の場合、2006年)ですが、これ以下の所得しかない人の2割にしか給付されていません。基礎年金は月6万6千円(実際には平均4万5千円)で、生活保護を下回っています。そこで、生活保護、基礎年金、一連の所得控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除など)をなくして、ベーシック・インカム、すなわちすべての個人に無条件で給付される一律の最低所得保障(月10万円)に置き換えます。同時に、現金給付だけではなく、医療、介護、子育て、教育、住まいなどの基礎的ニーズを満たす公共サービスを思いきって拡充し、自己負担額が極端に大きい現状を変えます。
D 雇用のわかちあいでスローライフ
労働時間を年1300時間に短縮。同一価値労働・同一賃金の実現と最低賃金の引き上げ
【解説】 日本の労働時間は年間1800時間、月150時間(2008年)ですが、報告されない残業(大部分はサービス残業)が年間400時間加わり、実際には2000時間を越えます。また週50時間以上働く労働者が全体の28%と、世界一です。そこで、残業をなくし週3日だけ働くような働き方をして雇用をわかちあい、労働時間を1300時間に短縮し、自由な時間を増やします。同時に、正社員と非正社員の間には、同じ仕事をしていても時給に大きな格差があります(正社員の平均賃金は男性34.8万円、女性24.3万円に対して、フルタイムで働く非正社員のそれは男性22.4万円、女性16.9万円。2007年)。このことが、最低賃金の極端な低さ(全国平均713円、最高の東京791円、最低の沖縄など629円、2009年)と相まって、ワーキングプアを急増させています。正社員と非正社員、男性と女性の均等待遇と最低賃金の引き上げによって、働く人びとが尊厳ある生活を営めるようにします。
E 公正な税負担で社会保障の充実
所得税の最高税率を70%に戻し、金融・資産課税の強化と環境税の導入
【解説】 国債など国の借金は882兆円(2010年3月末)にまで膨らみ、1人当たり約693万円になります。これ以上借金を増やして将来世代にツケをまわすことをやめる必要があります。これからは、社会保障費を削って財政赤字を減らす方法ではなく、むしろ社会保障を充実するために税負担を高める方法をとるべきです。その場合、負担を透明で公平なものにし、社会的公正を実現する手段としての税の所得再分配機能を再強化することが重要です。まず所得税の最高税率(現在40%)を70%(1980年代)に戻し、累進性を強めます。環境税を導入します。法人税率(現在30%、地方税を含めて40%)は引き下げず租税特別措置を全廃する、金融優遇税制(証券優遇税制)を廃止し総合課税に一本化する、相続税を再び引き上げる、贈与税の非課税枠を縮小することも必要です。消費税率は、給付付き税額控除の導入など逆進性をなくす措置をとって引き上げます。同時に、軍事費やムダな公共事業の削減や予算の執行過程の透明化によるムダの削減を進める必要があります。
F シングル社会&多様な家族
選択的夫婦別姓、専業主婦控除廃止など民法・税制改正、登録パートナーシップ法制定へ
【解説】 世帯(家族)単位の社会システムは、税・社会保障・労働などあらゆる分野に及んでいます。「男性を主たる稼ぎ手とする家族」を基本とした給与や手当、税控除の仕組みは、女性の自立を阻み、世帯単位の戸籍や婚姻制度はセクシュアルマイノリティや婚外子の差別の道具となり、家庭内暴力の温存にもつながっています。民法・税制の早急な改正を進めるなど、シングル単位で生きやすい社会へと転換します。合わせて、フランスのパックス法やアメリカのドメスティックパートナー法のようにすでに多くの国で導入されている、自立した個人間の親密圏としての家族の形態を「異性間の婚姻関係に因るもの」に限定されることなく、多様に保障される法整備をすすめます。
G 多文化共生のフェアな社会
移住労働者に日本人と同等の労働条件、定住外国人の地方参政権、アイヌ民族議席を
【解説】 それぞれの人間が多様であるという前提の中、複数の社会的アイデンティティを持つことが社会の活力を生み出します。私たちは「日本民族」だけにこだわるような排外主義の姿勢に真っ向から反対します。国籍や国境にとらわれることのない人権意識が必要です。そして、社会的な差別の解消を個人努力だけに押し付けるのでなく、移住労働者、定住外国人、アイヌ民族、各性の差など少数であるがゆえの不利はポジティブアクションなど制度で緩和するという発想で社会制度を設計し直します。
H 誰でも立候補できる選挙制度
企業・団体献金の禁止。18歳から立候補もOK。供託金ゼロ。ハードルの低い比例代表100%
【解説】 財界や業界団体の利害に左右される政治、世襲議員だらけの議会を変えるため、誰もが立候補しやすく、有権者に政策を届けられる選挙制度に。若者の参加を促進するため選挙権と被選挙権の年齢制限を18歳に引き下げるとともに、企業における休職・復職制度や落選者・議員経験者の雇用を円滑にするための法整備にも取り組みます。供託金はフランス、ドイツではゼロ、イギリスでも10万円です。選挙運動も欧米並の自由化が必要です。また、衆議院選挙は多様な民意が反映できるように、立候補の政党要件を緩和した比例代表制に一本化し、小選挙区は廃止します。
I 住民自治の徹底
常設型住民投票制度や参加型予算などを定めた「市民自治法」の制定
【解説】 分権改革の核心は、住民主権の強化充実です。自治体の仕組みや政策は自治体ごとに決めるという方向性の下、税などの負担とサービス給付のバランスを住民自身が理解し、重要事項を判断・決定するための制度については、現行の地方自治法を抜本改正した「市民自治法」を制定し、民主主義のインフラとして法制化します。住民投票制度は住民の5%の署名による実施義務や結果の尊重などを定め、実施のハードルを下げ、議会や首長による拒否ができない制度とします。
J 共に生きる北東アジア
「日米同盟」見直し、『思いやり予算』廃止、米軍基地ゼロ。北東アジア非核地帯を実現
【解説】 「軍事同盟」としての日米安保は、北東アジアの冷戦構造を固定化し、不信と対立を拡大しています。アメリカを含む関係各国と対等・友好な関係を築き、米軍基地の撤去(2030年までにゼロへ)と防衛予算の大幅縮減を図ります。総額3000億円以上の米軍駐留関連経費(「思いやり予算」を含む)は2015年までに廃止し、基地が撤去されるまでは米軍側に公正な負担を求めます。
「北東アジア非核地帯」構想は、北朝鮮・韓国・日本が非核国となることを約束し、中国、ロシア、米国がこれらに対して核兵器を使用しないと約束する枠組みを基本構造とする構想で、NGOから提起され、GPPACなどでも積極的に議論されています。また、この構想の実現に向けて、国家同士の交渉や議論、国境を越えた市民社会の連携の過程自体が、相互理解を深めていくプロセスとなります。
K 公正と連帯のグローバル社会
国際連帯税・通貨取引税で、環境対策と途上国支援、投機マネーのコントロール
【解説】 国際連帯税は、国境を越える特定の経済活動に課税して、貧困や環境、感染症などのグローバルな課題に取り組むための資金を調達する国際的な税で、すでにフランスなど10数か国以上で国際航空券税が導入されています。通貨取引に超低率の税をかけることによって、既成の市場を混乱させることなく、金融市場のコントロールの役割も期待できます。この仕組みは一国でも単独導入が可能です。税率については目的とする機能によって議論が分かれるところですが、0.005%程度の税率であれば、課税回避のコストの方が高くつくと考えられています。まず超低率での導入を実現し、効果と影響を評価しつつ、より高い課税を検討します。