2010年4月16日 みどりの未来運営委員会
鳩山由紀夫首相の秘書、小沢一郎・民主党幹事長の秘書、小林千代美衆院議員の会計責任者が、政治資金規正法違反で起訴されました。こうした政治資金に関する問題は、単に一政治家の倫理問題にとどまるものではなく、民主主義のプロセスにおけるお金のあり方そのものを問うべきものです。私たちは、民主主義を活性化するためにこそ、この問題を考えたいと思います。
まず収入の面から考えます。鳩山首相側が日本有数の資産家である首相の実母から、小沢氏側が建設会社と関係の深い組織から、それぞれ多額の資金を得ていたこと自体は概ね間違いないと考えられます。このように、企業・団体等が多額の献金をすることは、資金力に乏しい普通の市民の政治的影響力を相対的に弱めることになってしまいます。また、こうした巨大組織のロビー活動が影響力を強めることは、道路建設・ダム・原発といった、私たちが望まない環境破壊型の巨大公共事業の推進にもつながるものです。
私たちは、1人1人の個人の意思が資金力に関係なく公正に政治に反映されるためには、企業・団体献金をすみやかに禁止することが必要と考えます。そもそも、政党助成金は、企業・団体献金のこのような弊害を除去するために導入された制度であり、献金を未だに温存させること自体、政党助成金を負担する納税者に対する背信行為と言わざるを得ません。
一方、現状の政党助成金も、その支出が不透明であり、市民にとって、存在意義が分かりにくいものとなっています。本来の政策研究とはかけ離れた使い方がなされているという指摘もあります。また、政党助成金の使途を党本部が握ることは、政党の中央の権限を著しく強化し、政党内部の民主主義を損ねるおそれもあります。
各党は、例えばイギリスの政党の候補者選定のように、候補者リストの中から選挙区の党員が選挙で候補者を決めるなど、一般党員の意見が民主的な政党運営に反映される工夫をする必要があります。制度的にも、国が機械的に政党に配分してしまうのではなく、有権者が自発的に選択して政党に寄付することを促進するため、例えば定額の助成券を有権者に配布し、各有権者が政党へ郵送する、といった方法を導入することも検討すべきです。
次に、支出の面からみると、既成の政治勢力がこのように不透明な収入に頼っているのは、政治活動にあまりにも高額の資金を要することが大きな要因となっています。とりわけ、高すぎる供託金は、民主主義の活性化にとって大きな障壁となっています。国政選挙の選挙区への立候補に300万円、比例区への立候補に600万円といった、一般勤労者の年収を上回りかねない高額な供託金制度は、諸外国に例がありません(ドイツ、フランス、アメリカなどには供託金がなく、イギリスでも10万円)。これでは、お金のある人だけが被選挙権を行使できることになりかねません。民主主義には多様な市民の政治参加が不可欠であり、政治参加を妨げる供託金は撤廃すべきです。
私たちは、民主主義をより活性化させるため、資金力に乏しい普通の市民でも政治参加が可能となるよう、抜本的な政治改革を求めるものです。