2010年3月10日 みどりの未来運営委員会
「高校無償化」法案が今国会に上程され、審議が開始されています。新聞報道等によれば、国交のないこと等を理由として、朝鮮学校を同法案の適用対象から排除すべきとの主張が与党内部からも出ているとのことです。しかし、朝鮮学校を同法案の適用の対象外とすることには、何らの合理的な根拠もありません。この法案の目的は「高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与すること」とされ、制度の対象となる「高等学校等」には、専修学校及び各種学校のうち、「高等学校の過程に類する過程を置くもの」も含まれています。
朝鮮学校を排除すべきとの主張においては、教育内容の確認が困難である等の理由があげられていますが、これはまったく事実と異なるものです。朝鮮学校は、現状においては学校基本法の中で各種学校として位置付けられており、都道府県知事の許可を得ています。各種の手続きの際にカリキュラムを提出しており、教育課程の確認が必要な場合は容易に行うことができます。また、現在では、全国のほぼすべての大学が、朝鮮高級学校を卒業した生徒の受験資格を認めています。このような実態を踏まえれば朝鮮学校が「高等学校の過程に類する過程を置くもの」に相当することは明らかです。
これに加えて、朝鮮学校を、教育基本法の第一条に定める教育機関として認可しないとする文部科学省の長年の方針については、日本政府が批准している国際人権諸条約の委員会からこれを民族差別とする「懸念と勧告」が何度も出されています。
政治や外交上の理由から、朝鮮学校を法案の適用対象外とすることは、国際人権規約などが禁止する明らかな内外人差別であり、法案の目的である「教育の機会均等」や憲法14条の平等原則の精神にも反するものです。
この問題については、既に海外からも強い懸念を表明する声が次々と上がっています。国際世論や国際法に反する差別的な対応は、北朝鮮政府に日本政府を批判する格好の口実を与え、拉致問題や核問題の解決にも悪影響を及ぼしかねないものです。
教育施策は、平和で民主的な国家や国際社会を実現するために最も重要な柱のひとつです。それが偏狭で排外的なものであってはなりません。
すべての子どもたちの学ぶ権利を平等に保障することが、求められています。
私たちは、「高校無償化」法案について、朝鮮学校を適用対象から除外しないことを強く求めるものです。